「HSPって何?」
 
相談室の名称に“HSP”という言葉を入れさせていただいているためか、
こんなご質問をいただきます。
 
 
HSPとは、
 
Highly Sensitive Person
(ハイリー・センシティブ・パーソン)
 
の略で、

アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が
1996年に自著「The Highly Sensitive Person」で
発表されました。
 
日本語では、
 
「とても敏感な人」
「敏感すぎる人」
「感受性が高い人」

 
などに訳されることが多いです。
(sensitiveという単語にぴったりの日本語は無いのだそうです)

文字どおり、
刺激にとても敏感で繊細な人のことで、
 
人口全体の約20%、
5人に1人がHSPといわれています。
 
 
でも、
敏感さにも繊細さにも、いろいろあります。
 
 
HSPとは、
いったいどんな人なのでしょう?
 
 
 
アーロン博士によると、
HSPの性質には「4つの面」があり、
HSPはその“すべて”持っているといわれています。
 

目次

1 HSPが持つ性質の4つの面
 (1)深く処理する
 (2)過剰に刺激を受けやすい
 (3)全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い
 (3)些細な刺激を察知する
 
2 HSPは持って生まれた気質
 
3 変えようとしない、知る・活かす

 
 

1 HSPが持つ性質の4つの面

(1)深く処理する

HSPは、あらゆることについて深く考え処理します。
 
これは、意識して行われるというよりは、
無意識のうちに、自動的に行われます。
 
例えば、絵を見た時。
 
単に「山が描いてあるな」「綺麗だな」ではなく、
その美しさを心の奥深くまで感じ、感動します。
 
 
小さな子どもの無邪気な笑顔や、
誰かのちょっとした優しさが、
 
感動するくらいうれしかったりします。
 
 
また、物事を深く詳細に処理することから、
些細な変化や違いにも敏感に気づきます。
 
 

(2)過剰に刺激を受けやすい

HSPは、すべてを半自動的に深く処理しますから、
 
精神的にとても負担がかかり、
エネルギーの余力があまりありません

 
だから、人より疲れやすくもあります。
 
 
音や匂いなどからも人一倍刺激を受け、
 
楽しいはずの旅行やイベントでも、
それらの刺激に圧倒されて、
 
ぐったりと疲れてしまいます。
 
 
これらは、物事を深く処理する性質の裏返しといえます。
 
 

(3)全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い

この性質も、深く処理することと関係しています。
 
HSPは、物事の一つひとつを深く処理し、
些細な変化や違いに気づきます。
 
これは、人の感情やストレスに対しても同じです。
 
 
そして、HSPはそうでない人に比べて、
ミラーニューロンの働きが活発です。
 
ミラーニューロンとは、
相手の動作や感情を見て、脳内で自動的に真似る細胞
 
ものまね細胞とも呼ばれ、
他人の気持ちを深く汲み取る助けにもなっています。
 
つまりHSPは、共感を生む部分が活発に働いているのです。
 
 

(4)些細な刺激を察知する

これは、感受性が強いからこその性質です。
(感覚の器官が発達している人もいますが)
 
外見上の小さな変化、声や視線、仕草や表情の変化など
 
「いつもと違う」を敏感に感じ取ります。

しかし、神経が高ぶりすぎると、
この察知の力は発揮されづらく
なります。
 
 

2 HSPは持って生まれた気質

HSPの方は、こんな不安を持っておられる方が
とても多いです。

「私は、どこかおかしいのではないか?」

でも、そうではありません。

強い感受性を持って生まれた、ということ。

「背が高い」を持って生まれた人や、
「声が可愛らしい」を持って生まれた人が
いるように、

HSPも、持って生まれた
「刺激に敏感で繊細である」という「気質」です。
 
 

3 変えようとしない、知る・活かす

HSPは、そうではない人の中で生活する中で、
様々な困難や苦しさ、辛さに遭遇します。

「変えたい」「治したい」
「普通になりたい」

こんな風に思うこともあります。

でも、

HSPは持って生まれた「気質」ですから、
「治す」とか「変える」というのは、
 
ちょっと違うんです。
 
 
身長が高い人が、それを生かす道として、
バスケット選手やモデルを目指したり、

声が特徴的な人が、それを生かす道として
声優を志したりすることが

あります。

そこまでいかなくても、

周りとはちょっと“違う”特徴をもちながら

生き生きと自分の人生を楽しんでいる人が
あなたの周りにもいるのではないでしょうか?

自分の気質や特徴、得意なことを知り、
それを活かしていくこと。

 
 
HSPにとっては、これがとても大切。
 
 
自分自身の人生を、
生き生きと生きていくためにも
欠かせないことです。
 
 
 
参考書籍:
「些細なことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」
エレイン・N・アーロン著、富田香里訳、SB文庫